LD(学習障害)とは?特徴や軽度知的障害との違い・障害者手帳についてわかりやすく解説
こんにちは、にゃひちです。
今回は、**LD(学習障害)**について解説します。
「勉強が苦手な人=学習障害なの?」
「知的障害とは何が違うの?」
「LDでも障害者手帳は取得できる?」
など、疑問に思っている方もいるのではないでしょうか。
LDは発達障害の一つですが、知的障害とは異なります。
また、LDがあるからといって、すべての勉強ができないわけでもありません。
今回は、LDの特徴や困りごと、軽度知的障害との違い、利用できる可能性のある支援制度について分かりやすく解説します。
LD(学習障害)とは?
LDとは「Learning Disabilities」の略で、日本語では一般的に学習障害と呼ばれています。
厚生労働省の発達障害者支援施策でも、学習障害はADHDや自閉症などとともに発達障害に含まれています。
文部科学省では、学習障害について、基本的には全般的な知的発達の遅れはないものの、
「聞く・話す・読む・書く・計算する・推論する」
といった能力のうち、特定のものの習得や使用に著しい困難がある状態としています。
つまり、
「全体的な理解力に問題があるわけではないのに、読み書きや計算など特定の分野だけ極端に苦手」
というのがLDを理解するうえで重要なポイントです。
現在、医学的には「限局性学習症(SLD)」という名称も使われています。
LDにはどんな特徴がある?
LDの特徴は人によって違います。
例えば、普通に会話できて理解力もあるのに、文章を読むことだけが極端に苦手という人もいます。
反対に、文章は問題なく読めるものの、計算だけが極端に苦手という人もいます。
厚生労働省も、学習障害(限局性学習障害)の代表的な特性として、話したり理解したりすることはできても、読む・書く・計算することなどが、努力していても極端に苦手な場合があると説明しています。
そのため、LDは単純な「勉強が苦手」とは違います。
① 読むことが極端に苦手
文章や文字を読むことに強い困難があるタイプです。
例えば、
- 文章を読むのに非常に時間がかかる
- 読んでいる場所を見失いやすい
- 似ている文字を読み間違える
- 文字を一つずつ追わないとうまく読めない
- 音読すると頻繁につまずく
- 読むことに非常に疲れる
などがあります。
一般的に**ディスレクシア(読字障害)**と呼ばれることもあります。
本人は内容を理解する能力があっても、「文字を読む」という部分で大きな負担がかかる場合があります。
② 書くことが極端に苦手
文字や文章を書くことに強い困難がある人もいます。
例えば、
- 漢字を覚えることが難しい
- 何度練習しても漢字を書けない
- 文字を書き間違えることが多い
- 鏡文字になってしまうことがある
- 頭では分かっているのに文章として書けない
- 書くことに非常に時間がかかる
などです。
「話せばきちんと説明できるのに、文章にすると全然書けない」というケースもあります。
③ 計算が極端に苦手
数字や計算について大きな困難がある場合もあります。
例えば、
- 簡単な暗算が難しい
- 足し算・引き算などを覚えにくい
- 繰り上がりや繰り下がりが分からなくなる
- 九九をなかなか覚えられない
- 数量の感覚を理解するのが難しい
- 文章問題になると何を計算すればいいのか分からない
などです。
計算に関する学習障害は、**ディスカリキュリア(算数障害)**と呼ばれることもあります。
文部科学省も、LDのある児童生徒への支援例として、数の概念を確認しながら計算したり、文章題を図にして意味を理解したりする方法を挙げています。
LDは努力不足ではない
ここは非常に重要です。
LDがある人に対して、
「勉強していないだけ」
「もっと漢字を練習すれば書ける」
「努力が足りない」
と思ってしまうことがあります。
しかし、LDによる困難は単純な努力不足ではありません。
文部科学省の定義でも、視覚障害・聴覚障害・知的障害や環境的な要因などが直接の原因となるものではないとされています。
むしろ本人は周囲と同じようにできるようになるため、人一倍努力していることもあります。
大切なのは苦手なことを無理やり繰り返すだけではなく、本人に合った方法を探すことです。
LDと軽度知的障害は何が違う?
LDと特に間違われやすいのが、軽度知的障害です。
どちらも学校の勉強で困ることがあるため、一見すると似ているように感じるかもしれません。
しかし、大きな違いがあります。
| LD(学習障害) | 軽度知的障害 | |
|---|---|---|
| 分類 | 発達障害 | 知的障害 |
| 知的発達 | 基本的に全般的な遅れはない | 知的機能と適応機能に一定の制約がある |
| 学習 | 特定の分野に著しい困難 | より幅広い学習で困難が出ることがある |
| 例 | 読みだけ極端に苦手など | 読み書き・計算・理解など幅広く苦手になることがある |
| 手帳 | 精神障害者保健福祉手帳の対象になる場合あり | 療育手帳の対象になる場合あり |
LDは文部科学省の定義上、基本的には全般的な知的発達の遅れがないことが特徴です。
一方、知的障害では知的機能だけではなく、日常生活などで必要となる適応機能も含めて判断されます。
ですから、
「計算が苦手だから知的障害」
「漢字が書けないからLD」
といったように、一つの特徴だけで判断することはできません。
LDと軽度知的障害が分かりにくい場合もある
実際には、きれいに区別できるケースばかりではありません。
例えば、学校で勉強についていけないという困りごとだけを見れば、LDと軽度知的障害が似て見えることがあります。
また、LDとADHDやASDなど、複数の発達特性がみられる人もいます。
文部科学省も、LDのある児童生徒にADHDや自閉症の特性がみられる場合があるとしています。
そのため、自己判断ではなく、必要に応じて医療機関や専門機関で詳しく調べてもらうことが大切です。
「勉強が苦手」だけではLDとは限らない
学校の成績が悪かったからといって、必ずLDというわけではありません。
例えば、
- 勉強する機会が十分になかった
- 長期間学校を休んでいた
- ADHDなどによって授業へ集中することが難しかった
- 視力や聴力に問題がある
- 知的障害がある
- 精神的な不調によって集中できない
など、学習が難しくなる理由はさまざまです。
そのため、インターネット上のチェックリストだけで、
「自分はLDだ」
と決めつけないことも重要です。
大人になってからLDに気づくこともある
LDは子どもだけの問題ではありません。
子どものころは、
「勉強が苦手な子」
「漢字が苦手な子」
「計算ができない子」
として扱われ、発達障害だと気づかないまま大人になる人もいます。
そして社会人になってから、
- 書類を読むのに時間がかかる
- メールを書くことが非常に苦手
- 漢字が書けない
- お金の計算が苦手
- 数字を扱う仕事で頻繁にミスをする
などの困難が目立つようになることがあります。
その結果、大人になってから医療機関などに相談し、初めて発達障害について調べるケースもあります。
LDはどうやって診断される?
LDは、単純に学校のテストの点数だけで診断されるものではありません。
医療機関などでは、
- 本人がどのようなことに困っているか
- 子どものころからの発達状況
- 学習状況
- 知能検査
- 読み書きや計算などの検査
- 他の発達障害や病気の可能性
など、さまざまな情報から総合的に判断されます。
大人で「もしかしたらLDかもしれない」と思った場合は、発達障害を診療している精神科・心療内科などに相談する方法があります。
LDでも障害者手帳を取得できる?
結論からいうと、LDでも精神障害者保健福祉手帳の対象になる場合があります。
厚生労働省は精神障害者保健福祉手帳の対象となり得る発達障害として、自閉症・学習障害・ADHDなどを明記しています。
ただし、
「LDと診断された=必ず手帳がもらえる」
わけではありません。
精神障害者保健福祉手帳は、精神疾患・発達障害などによって長期にわたり日常生活や社会生活に制約がある人が対象となる制度です。
そのため、LDによって実際の生活や仕事などにどの程度の制約が生じているかなどを含めて判断されます。
LDなら療育手帳ではないの?
ここも間違えやすいポイントです。
LDだけを理由として療育手帳を取得する制度ではありません。
療育手帳は、児童相談所や知的障害者更生相談所などで知的障害があると判定された人を対象とする手帳です。
そのため基本的には、
LDなどの発達障害 → 精神障害者保健福祉手帳の対象になる場合がある
知的障害 → 療育手帳の対象になる場合がある
と考えると分かりやすいでしょう。
なお、療育手帳は自治体によって判定基準や区分などが異なります。
LDの人が学校で受けられる支援
LDでは、「できないことをひたすら練習する」だけではなく、その人に合った学習方法を見つけることが大切です。
例えば、
- タブレットやパソコンを使用する
- 読み上げ機能を利用する
- 音声入力を利用する
- 図やイラストを使って説明する
- 計算機を活用する
- 問題文を読み上げてもらう
- 書く量を調整する
- 本人が理解しやすい方法で説明する
などの方法があります。
文部科学省も、LDのある子どもについて、自分の特性を理解して自分に合った方法を身につけたり、必要な支援を周囲に依頼したりできるようにすることが重要だとしています。
大人になってからも工夫できる
LDによる困難は学校だけで終わるわけではありません。
仕事でも読み書きや計算が必要になるため、自分に合った工夫を取り入れることが重要です。
例えば漢字を書くのが苦手なら、無理にすべて手書きにするのではなくパソコンやスマートフォンを使えばよいでしょう。
文章を読むことが大変なら、読み上げ機能を利用する方法もあります。
計算が苦手なら電卓やExcelなどを利用できます。
苦手なことを道具で補うことは悪いことではありません。
むしろ、自分の得意・不得意を理解して適切なツールを使うことは、仕事や日常生活でのミスを減らすためにも有効です。
LDでも仕事はできる?
もちろんLDがあるからといって、仕事ができないわけではありません。
LDでは能力全体に問題があるわけではなく、特定の分野に強い苦手さがあることが特徴です。
例えば読み書きが苦手でも、口頭でのコミュニケーションや実際に身体を動かす作業が得意な人もいるでしょう。
反対に計算は苦手でも、文章を書くことや人と話すことが得意な人もいます。
重要なのは、
「自分は何が苦手なのか」
だけではなく、
「自分は何なら得意なのか」
を知ることです。
仕事内容や職場環境を自分の特性に合わせることで、苦手な部分を補いながら働くこともできます。
周囲の理解も大切
LDは外見から分かりにくい障害です。
そのため、
「普通に話せるのになぜ漢字が書けないの?」
「簡単な計算なのになぜできないの?」
と思われてしまうことがあります。
本人も、
「どうして自分だけできないんだろう」
と悩んでしまうことがあります。
しかし、LDによる苦手さは本人の怠けや努力不足とは限りません。
学校・家族・職場など周囲の人が特性を理解し、その人に合った方法を一緒に探すことが大切です。
まとめ
LD(学習障害)は、発達障害の一つで、基本的には全般的な知的発達の遅れがない一方、読み・書き・計算など特定の能力の習得や使用に著しい困難がある状態です。
今回のポイントをまとめると、
- LDは発達障害の一つ
- 「限局性学習症(SLD)」とも呼ばれる
- 読む・書く・計算など特定の分野に強い苦手さが現れる
- 単なる勉強不足や努力不足とは異なる
- 基本的には全般的な知的発達の遅れがない
- 軽度知的障害とは異なる
- ADHDやASDなどの特性を併せ持つ場合もある
- LDでも精神障害者保健福祉手帳の対象になる場合がある
- LDだけを理由として療育手帳を取得するものではない
- タブレット・読み上げ・音声入力・電卓などを活用して苦手な部分を補うことができる
- 大人になってから困りごとが目立ち、相談につながることもある
LDがあるから「頭が悪い」ということではありません。
特定の方法では学習しにくいという特性があるため、その人に合った方法を見つけることが重要です。
苦手な部分だけを見るのではなく、自分の得意なことを活かしながら、必要なところは道具や周囲の支援を利用していくことが大切だと思います。
この記事が、LDについて知りたい方や、「自分にも当てはまるかもしれない」と悩んでいる方の参考になれば幸いです。
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