身体障害者手帳とは?等級や対象者・受けられる支援制度をわかりやすく解説
こんにちは、にゃひちです。
今回は、**「身体障害者手帳」**について解説します。
障害者手帳には大きく分けて、
- 身体障害者手帳
- 療育手帳
- 精神障害者保健福祉手帳
があります。
その中でも身体障害者手帳は、身体の機能に一定以上の障害があると認められた方に交付される障害者手帳です。
「身体障害者手帳はどんな人が取得できるの?」
「1級や2級などの等級は何が違う?」
「取得するとどんな支援を受けられる?」
「障害年金とは何が違う?」
など、疑問に思っている方もいると思います。
今回は身体障害者手帳について、できるだけ分かりやすく解説していきます。
身体障害者手帳とは?
身体障害者手帳は、身体障害者福祉法に基づいて交付される障害者手帳です。
一定の基準を満たした身体障害がある方が対象となります。
身体障害者手帳を取得することで、障害の種類や等級、住んでいる自治体などに応じて、さまざまな福祉制度や支援を利用できるようになります。
身体障害者手帳の認定・交付は、都道府県・指定都市・中核市によって行われています。
身体障害者手帳の対象となる障害
身体に障害があれば、どのような状態でも身体障害者手帳を取得できるわけではありません。
法律で定められた障害に該当し、さらに一定の基準を満たす必要があります。
主な対象は次のとおりです。
① 視覚障害
視力や視野などに一定以上の障害がある場合です。
② 聴覚・平衡機能障害
耳が聞こえにくい、または平衡機能に障害がある場合などが対象になります。
③ 音声・言語・そしゃく機能障害
話す機能や言葉を使う機能、食べ物をかんだり飲み込んだりする機能などに一定以上の障害がある場合です。
④ 肢体不自由
手や足、体幹などの運動機能に障害がある場合です。
上肢・下肢・体幹など、それぞれの状態によって認定基準が定められています。
⑤ 心臓機能障害
心臓の機能に一定以上の障害があり、日常生活に制限がある場合などです。
⑥ じん臓機能障害
腎臓の機能が大きく低下している場合などが対象となります。
⑦ 呼吸器機能障害
呼吸機能に一定以上の障害がある場合です。
⑧ ぼうこう・直腸機能障害
ぼうこうや直腸の機能に一定以上の障害がある場合です。
⑨ 小腸機能障害
小腸の機能に一定以上の障害がある場合です。
⑩ HIVによる免疫機能障害
ヒト免疫不全ウイルス(HIV)による免疫機能の障害も対象に含まれます。
⑪ 肝臓機能障害
肝臓の機能に一定以上の障害がある場合も対象になります。
このように、身体障害者手帳は手足など外見から分かりやすい障害だけではありません。
心臓・腎臓・呼吸器・肝臓などの内部障害も対象となっています。
身体障害者手帳の等級は1~6級
身体障害者手帳では、障害の程度によって1級から6級までの等級があります。
基本的には、
1級 → 障害の程度が重い
↓
2級
↓
3級
↓
4級
↓
5級
↓
6級 → 比較的軽い
という考え方になります。
ただし、障害の種類によって存在する等級が異なるため、すべての障害に1~6級が設定されているわけではありません。
また、身体障害者障害程度等級表には「7級」に該当する障害もありますが、7級の障害が一つだけの場合は身体障害者手帳の交付対象にはなりません。
7級の障害が2つ以上重複する場合や、7級の障害と6級以上の障害が重複する場合などには、手帳の対象となることがあります。
1級ならすべての支援が受けられる?
身体障害者手帳では等級によって利用できる制度が変わることがあります。
一般的には重い等級ほど対象となる支援が広くなる場合がありますが、
「1級ならすべて無料になる」
というわけではありません。
さらに同じ「身体障害者手帳2級」でも、障害の種類によって制度の対象になるかどうかが異なる場合があります。
そのため、実際に利用できる制度については、住んでいる自治体や各サービス提供者に確認することが大切です。
身体障害者手帳を取得すると受けられる支援
ここからは、身体障害者手帳を取得することで利用できる可能性のある主な制度を紹介します。
自治体や障害の種類・等級などによって内容が違うため、すべての方が以下の制度を利用できるわけではない点には注意してください。
① 税金の控除
身体障害者手帳を持っている場合、条件を満たせば所得税や住民税の障害者控除を利用できます。
また、一定の重い障害の場合には「特別障害者」として、通常の障害者控除より大きな控除を受けられる場合があります。
本人だけでなく、障害のある家族を扶養している場合に控除の対象になることもあります。
② 障害者雇用で働ける
身体障害者手帳を取得すると、障害者雇用枠で仕事を探すことができます。
障害者雇用では、本人の障害に応じて、
- 通院への配慮
- バリアフリー環境
- 業務内容の調整
- 勤務時間の調整
- 通勤方法への配慮
などの合理的配慮について会社と相談できる場合があります。
身体障害によって一般の職場で働くことに不安がある場合には、ハローワークなどへ相談する方法もあります。
③ 公共交通機関などの割引
身体障害者手帳を持っている方について、鉄道・バスなどで障害者割引が設けられている場合があります。
本人だけが割引される場合もあれば、障害の区分や利用方法などによって介護者も対象になる場合があります。
ただし、割引条件は交通事業者によって異なります。
④ 有料道路の障害者割引
一定の条件を満たした身体障害者については、高速道路などの有料道路における障害者割引制度を利用できる場合があります。
対象となる障害や本人運転・介護者運転などによって条件があります。
そのため、身体障害者手帳を持っている全員が自動的に割引になるわけではありません。
⑤ 医療費の助成
自治体によっては、身体障害者手帳を持っている方を対象とした障害者医療費助成制度などがあります。
医療費の自己負担が軽減されることがありますが、
- 対象となる等級
- 所得制限
- 年齢
- 対象となる医療
などは自治体によって異なります。
これは全国一律の内容ではないので、お住まいの自治体に確認しましょう。
⑥ 補装具費の支給
障害の状態などに応じて、補装具費支給制度を利用できる場合があります。
例えば、
- 車いす
- 義肢
- 補聴器
- 装具
- 視覚障害者安全つえ
など、身体機能を補うために必要な用具が対象となることがあります。
本人の障害や必要性などによって支給の可否が判断されます。
⑦ 日常生活用具の給付
自治体によっては、障害のある方の日常生活を支援するための用具について、給付や助成を受けられる場合があります。
対象となる用具や条件については自治体によって違います。
⑧ 公共施設・レジャー施設などの割引
身体障害者手帳を提示することで、
- 博物館
- 美術館
- 動物園
- 水族館
- 映画館
- スポーツ施設
- 公共施設
などで割引を受けられる場合があります。
民間企業による障害者割引もあります。
こちらも施設によって条件が異なるため、利用前に確認するとよいでしょう。
⑨ 携帯電話などの障害者向けサービス
携帯電話会社をはじめ、一部の民間企業では障害者手帳を持っている方を対象とした料金プランや割引サービスを用意している場合があります。
サービス内容は変更されることがあるので、利用する会社の最新情報を確認しましょう。
⑩ 自動車に関する支援
一定の条件を満たした場合、
- 自動車税などの減免
- 自動車改造費の助成
- 運転免許取得費用への助成
などを利用できる自治体もあります。
ただし、障害の種類・等級・自動車の所有者・使用目的など、細かな条件が設定されている場合があります。
身体障害者手帳があれば障害福祉サービスも利用できる?
障害の状態や必要性などに応じて、障害者総合支援法による福祉サービスを利用できる場合があります。
例えば、
- 居宅介護(ホームヘルプ)
- 重度訪問介護
- 短期入所
- 生活介護
- 自立訓練
- 就労移行支援
- 就労継続支援A型
- 就労継続支援B型
- 就労定着支援
など、さまざまなサービスがあります。
ただし、身体障害者手帳を持っているだけですべてのサービスを利用できるわけではありません。
サービスごとに要件があり、市区町村による支給決定などが必要になります。
身体障害者手帳の申請方法
身体障害者手帳は、病院で診断されたら自動的にもらえるものではありません。
自分で申請する必要があります。
大まかな流れは、
① 市区町村の障害福祉担当窓口へ相談
↓
② 身体障害者福祉法第15条の指定医を確認
↓
③ 指定医に診察してもらい、診断書・意見書を書いてもらう
↓
④ 写真や申請書など必要書類を準備
↓
⑤ 福祉事務所や市区町村の窓口へ提出
↓
⑥ 自治体で審査
↓
⑦ 認定されれば身体障害者手帳が交付
という流れになります。
重要なのが、診断書は基本的に身体障害者福祉法第15条の指定医に作成してもらう必要があることです。
普段通っている病院の主治医が必ず指定医とは限らないため、事前に確認しましょう。
厚生労働省も、申請には指定医の診断書・意見書や本人の写真などを用意し、福祉事務所や市役所などで手続きを行うと案内しています。
身体障害者手帳に更新はある?
精神障害者保健福祉手帳などと違い、身体障害者手帳については原則として定期的な更新はありません。
ただし、今後障害の状態が軽くなるなど変化が予想される場合には、一定期間後に再認定が行われることがあります。
そのため、
「身体障害者手帳は絶対に一生同じ等級」
というわけではありません。
病気になっただけでは取得できない?
ここも重要です。
身体障害者手帳は、病名だけで認定される制度ではありません。
例えば心臓病になったから自動的に身体障害者手帳が交付されるわけではなく、その病気によって生じた機能障害が身体障害者手帳の認定基準を満たしている必要があります。
同じ病気でも、
Aさんは身体障害者手帳の対象になる
一方で、
Bさんは基準を満たさず対象にならない
ということもあります。
自分が対象になるか分からない場合は、主治医や自治体の障害福祉窓口へ相談しましょう。
身体障害者手帳と障害年金は別物
身体障害者手帳について非常に間違えやすいのが、障害年金との関係です。
身体障害者手帳と障害年金は別々の制度です。
そのため、
「身体障害者手帳2級だから障害年金も2級」
とは限りません。
反対に、
「身体障害者手帳を持っていないから障害年金を受給できない」
とも限りません。
それぞれ別の基準で審査されます。
手帳の等級と障害年金の等級が一致しないこともありますので注意しましょう。
療育手帳・精神障害者保健福祉手帳との違い
日本では障害の種類によって主に3種類の障害者手帳があります。
| 手帳 | 主な対象 |
|---|---|
| 身体障害者手帳 | 一定以上の身体機能障害 |
| 療育手帳 | 主に知的障害 |
| 精神障害者保健福祉手帳 | 一定程度の精神障害(発達障害を含む場合あり) |
身体障害者手帳は身体障害者福祉法に基づく制度です。
一方、療育手帳と精神障害者保健福祉手帳では制度の根拠や認定方法などが異なります。
手帳を取得するか迷っている場合は?
「自分くらいの障害で手帳を申請していいのかな?」
と思う方もいるかもしれません。
しかし、自分だけで判断する必要はありません。
まず、
主治医に「身体障害者手帳の対象になる可能性はありますか?」と相談する
のが分かりやすいと思います。
また、市区町村の障害福祉担当窓口でも相談できます。
対象になる可能性があるのであれば、必要な診断書や申請方法などについて確認してみましょう。
まとめ
身体障害者手帳は、身体の機能に一定以上の障害があると認められた方に交付される障害者手帳です。
ポイントをまとめると、
- 身体障害者手帳は身体障害者福祉法に基づく制度
- 視覚・聴覚・肢体不自由だけでなく内部障害なども対象
- 等級は基本的に1~6級
- 7級単独では原則として手帳の交付対象にならない
- 等級や障害の種類によって利用できる制度が異なる
- 税金・障害者雇用・交通機関など、さまざまな支援を利用できる場合がある
- 医療費助成など自治体独自の制度もある
- 申請には原則として指定医の診断書・意見書が必要
- 原則として定期的な更新はないが、再認定が必要になる場合がある
- 病名だけではなく、身体機能の障害が認定基準を満たす必要がある
- 身体障害者手帳と障害年金は別の制度
身体障害者手帳を取得することで、日常生活や仕事を支えるさまざまな制度につながる可能性があります。
一方で、受けられる支援は「手帳○級だから全国どこでも全部同じ」というわけではありません。
障害の種類・等級・所得・住んでいる自治体などによって対象になる制度が変わるため、手帳を取得したら自治体の障害福祉窓口で、
「この等級で利用できる制度をすべて教えてください」
と確認してみるのがおすすめです。
この記事が、身体障害者手帳について知りたい方の参考になれば幸いです。
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