知的障害と発達障害の違いとは?特徴や診断についてわかりやすく解説
こんにちは、にゃひちです。
今回は、**「知的障害と発達障害の違い」**について解説します。
知的障害と発達障害は混同されることがありますが、同じものではありません。
例えば、
「ADHDと知的障害は何が違うの?」
「自閉スペクトラム症なら知的障害もあるの?」
「知的障害と発達障害の両方があることもある?」
と疑問に思っている方もいると思います。
結論からいうと、知的障害と発達障害は特徴や診断の考え方が異なります。ただし、両方を併せ持つ人もいます。
この記事では、それぞれの特徴や違いについて、できるだけ分かりやすく解説します。
知的障害とは?
知的障害は、医学的には「知的発達症(知的能力障害)」などと呼ばれ、発達期から知的機能と適応機能の両方に困難がみられる状態です。
知的機能とは、
- 学習する
- 考える
- 推理する
- 問題を解決する
- 物事を理解する
といった能力です。
そして適応機能とは、日常生活や社会生活を送るために必要となる能力です。
例えば、
- お金を管理する
- 時間や予定を管理する
- 相手の話を理解する
- 自分で生活する
- 仕事をする
- 社会のルールを理解する
などがあります。
そのため、知的障害はIQの数値だけで決まるものではありません。
知能検査の結果に加えて、日常生活や社会生活でどの程度の困難があり、どれくらいの支援が必要なのかなどを総合的に判断します。
発達障害とは?
発達障害は、生まれつきの脳機能の発達の違いに関連して、コミュニケーション、注意、行動、学習などに特徴が現れるものです。
代表的なものとして、
自閉スペクトラム症(ASD)
対人関係やコミュニケーションの難しさ、限定された興味やこだわり、反復的な行動などが特徴です。
注意欠如・多動症(ADHD)
不注意、多動性、衝動性などが特徴です。
例えば、
- 忘れ物が多い
- 物をなくしやすい
- 集中が続きにくい
- 順番を待つことが苦手
- 思いついたことをすぐ行動に移してしまう
などがあります。
限局性学習症(SLD)
知的発達全体の問題ではないものの、
- 読む
- 書く
- 計算する
など、特定の学習分野に著しい困難がみられるものです。
発達障害は一人ひとり特徴が大きく異なり、同じ診断名であっても困っていることや必要な支援は違います。
知的障害と発達障害は何が違う?
一番分かりやすい違いは、困難が現れる範囲や特徴です。
知的障害では、知的機能と日常生活に必要な適応機能に幅広い困難がみられます。
一方、発達障害では、コミュニケーション、注意力、衝動性、特定の学習能力など、発達の特定の領域に特徴が強く現れることがあります。
簡単に比較すると次のようになります。
| 知的障害 | 発達障害 | |
|---|---|---|
| 主な特徴 | 知的機能・適応機能の困難 | 発達特性による困難 |
| 困りやすいこと | 学習・理解・判断・生活管理など | 対人関係・注意・行動・学習など |
| IQ | 判断材料の一つ | 必ずしも低いとは限らない |
| 発達期から存在 | ○ | ○ |
| 成人後に分かること | ある | ある |
| 両方を併せ持つ | 可能 | 可能 |
特に重要なのが、「発達障害=知的能力が低い」ではないという点です。
発達障害があっても、知的障害を伴わない人はたくさんいます。
IQが低いと知的障害になる?
知的障害について「IQ70未満なら知的障害」と説明されることがあります。
確かに知能検査は診断における重要な判断材料ですが、現在はIQだけで機械的に判断するものではありません。
知的機能に加えて、適応機能にどの程度の困難があるのかを確認することが重要です。
また、療育手帳については自治体によって判定基準や区分が異なります。
そのため、
「IQが○○だから必ず療育手帳○級になる」
とは一概には言えない点にも注意が必要です。
発達障害があってもIQが高い人はいる
これは知的障害との違いを理解するうえで重要です。
例えばADHDの場合、知的能力そのものではなく、注意を維持することや衝動をコントロールすることなどに困難が現れる場合があります。
ASDでも知的障害を伴わない人はいます。
そのため、学校の勉強ができたり大学へ進学したりしていても、発達特性によって日常生活や仕事で大きな困難を抱えることがあります。
反対に、発達障害と知的障害の両方がある人もいます。
知的障害と発達障害を両方持つことはある?
あります。
知的障害と発達障害はどちらか一方しか診断されないものではありません。
例えば、
知的障害+自閉スペクトラム症
という組み合わせもあります。
また、知的障害とADHDなどが併存することもあります。
このような場合は、どちらか一方だけを見るのではなく、本人が実際に何に困っているのかを確認して、それぞれの特性に合わせた支援を考えることが重要です。
軽度知的障害は気づかれにくいことがある
特に軽度知的障害の場合、子どもの頃には気づかれず、大人になってから分かるケースもあります。
日常会話などでは大きな違いが分からないこともあり、
「勉強が苦手なだけ」
「仕事を覚えるのが遅いだけ」
「要領が悪い」
などと思われてしまうことがあります。
しかし実際には、
- 複雑な説明を理解するのが難しい
- 暗算が苦手
- お金の計算が難しい
- 複数の指示を覚えるのが難しい
- 曖昧な指示を理解しにくい
- 初めての仕事を覚えるのに時間がかかる
- 書類の内容を理解するのが難しい
などの困りごとを抱えている場合があります。
大人になって就職してから仕事で困ることが増え、その後検査を受けて初めて分かるケースもあります。
発達障害も大人になってから分かることがある
発達障害も同じように、大人になって初めて診断されることがあります。
子どもの頃は周囲のサポートによって大きな問題にならなかったものの、就職して環境が変化すると、
- マルチタスクができない
- 仕事の優先順位をつけられない
- 忘れ物やミスが多い
- 人間関係でトラブルになる
- 急な予定変更に対応するのが苦手
- 曖昧な指示が分からない
といった問題が目立つようになる場合があります。
そして精神科や専門医療機関などを受診し、発達障害が分かることがあります。
知的障害・発達障害は「努力不足」ではない
知的障害や発達障害による困難について、
「努力が足りない」
「もっと集中すればできる」
「何度も教えているのに、なぜできないの?」
と思われることがあります。
しかし、本人の努力だけですべて解決できるとは限りません。
大切なのは、苦手な部分を無理に克服させることだけではなく、本人ができる方法に環境を変えることです。
例えば、
「これを適当に片付けておいて」
という曖昧な指示ではなく、
「この箱の商品を10個ずつ袋に入れてください」
など具体的に伝えるだけでも、仕事がしやすくなる場合があります。
日常生活でできる工夫
知的障害・発達障害のどちらについても、本人の特性に合わせて工夫することが重要です。
例えば、
- スマートフォンの予定表を使う
- アラームを設定する
- やることをメモする
- 写真やイラストを使う
- 一度に複数の指示を出さない
- 作業手順をマニュアル化する
- 電卓を利用する
- 分からないことを確認できる環境を作る
などがあります。
「できないことを全部できるようにする」のではなく、道具や周囲の支援を使って困りごとを減らすという考え方も大切です。
どこで検査・相談できる?
知的障害や発達障害について気になることがある場合は、年齢や地域によって相談先が異なりますが、
- 精神科
- 発達障害を専門とする医療機関
- 発達障害者支援センター
- 自治体の障害福祉窓口
- 児童相談所(子どもの場合)
などへ相談する方法があります。
知的能力については、WAISなどの知能検査が使用されることがあります。
ただし、知能検査の結果だけを見て自分で知的障害や発達障害を判断することはできません。
検査結果やこれまでの発達歴、現在の日常生活での困りごとなどを含めて専門家が判断します。
障害者手帳は取得できる?
知的障害の場合、一定の基準を満たすと療育手帳の対象になることがあります。
療育手帳の名称や判定基準、区分などは自治体によって異なります。
一方、ADHDやASDなどの発達障害では、状態や生活への影響などによって精神障害者保健福祉手帳の対象になる場合があります。
ただし、発達障害の診断を受けたから必ず手帳を取得できるというわけではありません。
手帳について詳しく知りたい場合は、お住まいの自治体へ確認しましょう。
自分に合った環境を見つけることが大切
知的障害や発達障害は、一人ひとり得意・不得意が違います。
苦手なことだけを見るのではなく、自分がどのような環境なら能力を発揮しやすいのかを知ることも大切です。
例えば、
- 作業手順が決まっている
- 一つずつ指示してもらえる
- 静かな場所で作業できる
- 急な予定変更が少ない
- 定期的に相談できる人がいる
など、自分に合った環境であれば働きやすくなる人もいます。
必要に応じて、障害者雇用や就労移行支援、就労継続支援A型・B型などの支援制度を利用する選択肢もあります。
まとめ
知的障害と発達障害は混同されることがありますが、同じものではありません。
ポイントをまとめると、
- 知的障害では知的機能と適応機能に困難がみられる
- 発達障害にはASD・ADHD・SLDなどがある
- 発達障害があっても知的障害があるとは限らない
- 知的障害と発達障害を両方持つこともある
- IQだけで知的障害を判断するものではない
- 軽度の場合、大人になるまで気づかれないこともある
- 本人の努力だけではなく環境調整や支援も重要
- 必要に応じて福祉サービスや障害者雇用などを利用できる場合がある
知的障害や発達障害があるからといって、すべてのことができないわけではありません。
得意なことと苦手なことを把握して、苦手な部分については道具や制度、周囲のサポートを利用することが大切です。
「周りと同じ方法でできないからダメ」と考えるのではなく、自分に合った方法や環境を探していきましょう。
この記事が、知的障害と発達障害の違いについて知りたい方の参考になれば幸いです。
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