パーソナリティ障害とは?種類・特徴・治療方法や障害者手帳・障害年金について解説
こんにちは、にゃひちです。
今回は、**「パーソナリティ障害(パーソナリティ症)」**について解説します。
「パーソナリティ障害ってどんな病気?」
「普通の性格との違いは?」
「性格が悪いという意味なの?」
「精神障害者保健福祉手帳は取得できる?」
「障害年金の対象になる?」
など、気になっている方もいるのではないでしょうか。
「パーソナリティ」という名前から誤解されることもありますが、単純に**「性格が悪い人」を意味するものではありません。**
この記事では、パーソナリティ障害の特徴や種類、原因、治療方法に加えて、障害者手帳や障害年金との関係についても分かりやすく解説します。
パーソナリティ障害とは?
パーソナリティ障害は、物事の考え方や感情、対人関係、行動などのパターンが極端になり、それによって本人が苦しんだり、日常生活や社会生活に大きな支障が生じたりする状態です。
人にはそれぞれ性格があります。
例えば、
「人と話すのが好き」
「一人でいるほうが好き」
「心配性」
「几帳面」
「感情が表に出やすい」
など、人によってさまざまです。
こうした性格の違いがあるだけで、パーソナリティ障害になるわけではありません。
重要なのは、その特徴によって本人や周囲との関係に継続的な困難が生じ、仕事・学校・家庭生活などに支障が出ているかという点です。
パーソナリティ障害=性格が悪い人ではない
ここは特に誤解してほしくない部分です。
パーソナリティ障害という名前から、
「人格がおかしい」
「性格が悪い」
「本人の努力が足りない」
と思われることがあります。
しかし、そのような意味ではありません。
本人自身も感情や人間関係などで強く悩んでいることがあります。
そのため、
「性格の問題だから本人が直せばいい」
と単純に片付けるものではありません。
パーソナリティ障害ではどんな特徴がみられる?
特徴は人によって大きく異なります。
例えば、
- 人間関係を安定して維持することが難しい
- 感情が大きく変化する
- 見捨てられることに強い不安を感じる
- 衝動的な行動をしてしまう
- 他人を信用することが難しい
- 他人からの評価を極端に気にする
- 人との関わりを避けてしまう
- 自分自身についてのイメージが安定しない
- 強いこだわりがある
などがあります。
ただし、一部が当てはまるだけでパーソナリティ障害というわけではありません。
インターネットのチェックリストだけで自己診断したり、他人をパーソナリティ障害だと決めつけたりするのは避けたほうがよいでしょう。
パーソナリティ障害にはどんな種類がある?
従来よく知られている分類では、パーソナリティ障害をA群・B群・C群の3つのグループに分けます。
A群
A群は、独特な考え方や対人関係などが特徴として現れるグループです。
代表的なものとして、
・妄想性パーソナリティ障害
・シゾイドパーソナリティ障害
・統合失調型パーソナリティ障害
などがあります。
B群
B群は、感情や行動、対人関係などが大きく変化しやすい特徴を持つグループです。
代表的なものとして、
・境界性パーソナリティ障害
・自己愛性パーソナリティ障害
・反社会性パーソナリティ障害
・演技性パーソナリティ障害
などがあります。
境界性パーソナリティ障害とは?
パーソナリティ障害の中でも、比較的名前を聞くことが多いのが**境界性パーソナリティ障害(BPD)**です。
例えば、
- 見捨てられることへの強い不安
- 人間関係が不安定になりやすい
- 感情が大きく変化する
- 衝動的な行動
- 自分自身についての感覚が不安定
などの特徴がみられることがあります。
ただし、恋人や友人との関係で不安になったり、感情的になったりするだけで境界性パーソナリティ障害になるわけではありません。
C群
C群は、不安や恐怖などが強く現れやすいグループです。
代表的なものとして、
・回避性パーソナリティ障害
・依存性パーソナリティ障害
・強迫性パーソナリティ障害
などがあります。
例えば回避性パーソナリティ障害では、人から否定されたり批判されたりすることへの不安などから、対人関係を避けてしまうことがあります。
現在は分類方法も変化している
パーソナリティ障害について調べると「10種類」という説明をよく見かけます。
しかし、現在の国際疾病分類ICD-11では、従来のように多数のタイプへ分ける方法から、重症度やパーソナリティ特性を評価する方向へ分類方法が変化しています。
そのため、この記事で紹介したA・B・C群などは、パーソナリティ障害を理解しやすくするための従来からよく知られている分類として考えるとよいでしょう。
パーソナリティ障害の原因は?
パーソナリティ障害について、
「○○が原因です」
と一つに決めることはできません。
もともとの気質や発達、これまでの経験や環境など、さまざまな要因が複雑に関係すると考えられています。
そのため、
「親の育て方が悪かったから」
「本人の性格が悪いから」
などと、一つの原因に決めつけるのは適切ではありません。
発達障害とは違うの?
パーソナリティ障害と、
ADHD(注意欠如・多動症)
ASD(自閉スペクトラム症)
などの発達障害(神経発達症)は別のものです。
ただし、特徴の一部が似て見える場合があります。
例えば、
「人間関係を作ることが苦手」
「感情をコントロールすることが難しい」
「仕事や学校で困っている」
というだけでは、どちらなのか判断できません。
また、複数の精神疾患や発達障害などが併存する場合もあります。
そのため、正確な診断は精神科などの専門家が行います。
パーソナリティ障害は治療できる?
パーソナリティ障害について、
「性格の問題なら治療できないのでは?」
と思う人もいるかもしれません。
しかし、治療や支援によって状態が改善する可能性があります。
中心となるのは**精神療法(心理療法)**です。
本人が抱えている問題や考え方、感情、対人関係などを整理しながら、少しずつ対処方法を身につけていきます。
治療にはある程度の期間が必要になることもあります。
薬物療法はある?
パーソナリティ障害そのものを、薬を飲むだけで治すというものではありません。
ただし、
「強い不安がある」
「うつ状態がある」
「ほかの精神疾患を併発している」
などの場合には、その症状や併存疾患に対して薬物療法が行われることがあります。
薬については自己判断で服用を中止したり、量を変更したりせず、医師に相談することが大切です。
パーソナリティ障害は精神障害者保健福祉手帳の対象?
ここからは福祉制度について紹介します。
結論として、パーソナリティ障害でも精神障害者保健福祉手帳の対象になる可能性があります。
厚生労働省の精神障害者保健福祉手帳の判定基準では、「その他の精神疾患」の中に**「成人のパーソナリティおよび行動の障害」**が含まれています。
そのため、
「パーソナリティ障害だから手帳を取得できない」
というわけではありません。
ただし、診断を受けただけで自動的に手帳が交付されるわけでもありません。
精神障害者保健福祉手帳には、
1級・2級・3級
があり、精神疾患の状態と日常生活・社会生活への支障の程度などを総合的に判断して等級が決まります。
例えば、
「日常生活にどの程度援助が必要なのか」
「社会生活にどの程度支障があるのか」
などが重要になります。
つまり、病名だけではなく実際の生活への影響が重要ということです。
精神障害者保健福祉手帳を取得すると何が変わる?
精神障害者保健福祉手帳を取得すると、障害者向けのさまざまな制度やサービスを利用できる可能性があります。
例えば、
- 障害者雇用で働く
- 税金の障害者控除を利用する
- 自治体などが実施する各種サービスを利用する
といったものがあります。
ただし、利用できるサービスは等級や自治体、事業者などによって異なります。
パーソナリティ障害で障害年金はもらえる?
ここは精神障害者保健福祉手帳とは扱いが違うため、特に注意が必要です。
厚生労働省の国民年金・厚生年金保険の障害認定基準では、
人格障害(現在のパーソナリティ障害・パーソナリティ症)は、原則として障害年金の認定対象にならない
とされています。
つまり、
精神障害者保健福祉手帳
→ パーソナリティ障害でも対象になる可能性がある
障害年金
→ パーソナリティ障害は原則として認定対象外
という大きな違いがあります。
ここは混同しやすいところです。
ほかの精神疾患がある場合は?
パーソナリティ障害がある人に、別の精神疾患が併存している場合もあります。
障害年金では、認定対象となる精神疾患が併存している場合、その病態や症状、経過、日常生活への影響などを踏まえて個別に判断されます。
厚生労働省の認定基準でも、認定対象となる複数の精神疾患が併存する場合には、諸症状を総合的に判断するとされています。
そのため、
「パーソナリティ障害+別の精神疾患なら必ず障害年金を受給できる」
ということでもありません。
障害年金には障害状態だけでなく、初診日や保険料納付などの要件もあります。
個別のケースについては、年金事務所や社会保険労務士などに確認するとよいでしょう。
働いていたら障害年金は受給できない?
精神障害による障害年金では、
「働いている=障害年金を受給できない」
と単純に判断されるわけではありません。
厚生労働省の障害認定基準では、働いていることだけで日常生活能力が向上したとは判断せず、
仕事の種類・仕事内容・就労状況・職場で受けている援助・ほかの従業員との意思疎通なども確認する
とされています。
例えば、障害者雇用などでさまざまな配慮を受けながら働いている場合には、その実際の就労状況も判断材料になります。
ただし、先ほど説明したとおり、パーソナリティ障害そのものは障害年金では原則認定対象外です。
精神障害者保健福祉手帳と障害年金は別物
非常に重要なのでもう一度まとめます。
| 制度 | パーソナリティ障害の場合 |
|---|---|
| 精神障害者保健福祉手帳 | 対象になる可能性あり |
| 障害基礎年金 | 原則として認定対象外 |
| 障害厚生年金 | 原則として認定対象外 |
手帳を持っているからといって、障害年金を受給できるとは限りません。
逆に、障害年金を受給していないから手帳を取得できないということでもありません。
手帳と障害年金は別々の制度として考える必要があります。
パーソナリティ障害があると働けない?
パーソナリティ障害があるからといって、必ず働けないわけではありません。
症状の程度や本人の特性、仕事内容、職場環境などによって大きく異なります。
一方で、
「人間関係でトラブルになりやすい」
「感情の変化によって仕事がつらくなる」
「強い不安から人とのコミュニケーションが難しい」
など、仕事に影響が出る人もいます。
そのような場合は、一人で無理を続けるのではなく、主治医や支援機関などに相談することも大切です。
精神障害者保健福祉手帳を取得している場合には、障害者雇用という働き方を検討することもできます。
周囲の人はどう接したらいい?
パーソナリティ障害がある人との関係で、家族や周囲の人も悩むことがあります。
大切なのは、
「性格が悪い人」
「面倒な人」
と人格そのものを否定しないことです。
一方で、周囲の人が何でも我慢する必要もありません。
本人と周囲の双方が無理をしすぎないよう、必要であれば医療機関や支援機関など専門家の力を借りることも重要です。
「あの人はパーソナリティ障害」と決めつけない
SNSなどでは、
「こういう人は自己愛性パーソナリティ障害」
「恋人がこういう行動をするから境界性パーソナリティ障害」
などといった情報を見かけることがあります。
しかし、特定の性格や行動だけで診断することはできません。
また、診断は本人を責めるためのものでもありません。
自分自身が人間関係や感情などの問題で苦しみ、日常生活に支障が出ている場合には、インターネットだけで自己診断せず、精神科などの専門家へ相談することをおすすめします。
まとめ
今回は**パーソナリティ障害(パーソナリティ症)**について紹介しました。
パーソナリティ障害は、物事の考え方や感情、対人関係、行動などのパターンによって、本人が苦しんだり日常生活・社会生活に大きな支障が生じたりする状態です。
決して、
「パーソナリティ障害=性格が悪い人」
という意味ではありません。
また、福祉制度については少し複雑です。
精神障害者保健福祉手帳については対象になる可能性がありますが、障害年金についてはパーソナリティ障害は原則として認定対象外です。
ほかの精神疾患などが併存している場合には扱いが変わる可能性があるため、個別に確認することが大切です。
人間関係や感情などの問題によって生活に大きな支障が出ている場合には、一人で判断せず、精神科などの医療機関へ相談してみてください。
※この記事は2026年9月時点の厚生労働省などの情報を参考に、一般向けに分かりやすくまとめたものです。診断や治療、障害者手帳・障害年金の認定については、医師や自治体、年金事務所などの専門機関にご確認ください。
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