双極性障害とは?躁状態・うつ状態の症状や原因、治療方法をわかりやすく解説
こんにちは、にゃひちです。
今回は、**双極性障害(双極症)**について紹介します。
「双極性障害とうつ病は何が違うの?」
「躁状態になると、どんな症状が出るの?」
「気分の浮き沈みが激しいだけで双極性障害なの?」
など、名前は聞いたことがあっても、どのような病気なのか分からない方もいると思います。
双極性障害は、以前は「躁うつ病」とも呼ばれていた病気です。
大きな特徴は、気分や活動性が異常に高まる躁状態・軽躁状態と、気分が落ち込んだり意欲が低下したりするうつ状態が現れることです。
ただし、普通の気分の浮き沈みと双極性障害は同じものではありません。
また、双極性障害とうつ病では治療方法にも違いがあるため、正しく診断してもらうことが重要です。国立精神・神経医療研究センター(NCNP)も、双極性障害はうつ病とは異なる病気であり、治療も異なると説明しています。
この記事では、
双極性障害とはどんな病気なのか
躁状態・軽躁状態・うつ状態ではどんな症状が出るのか
双極Ⅰ型と双極Ⅱ型の違い
うつ病との違い
どのような治療をするのか
などについて、できるだけ分かりやすく解説します。
※この記事は2026年9月時点の一般的な情報をまとめたものです。症状や治療方法には個人差があります。診断や治療については医師にご相談ください。
双極性障害とは?
双極性障害は、躁状態または軽躁状態と、うつ状態などが現れる精神疾患です。
現在は「双極症」という名称も使われています。
日本うつ病学会でも「日本うつ病学会診療ガイドライン 双極性障害(双極症)2023」が公開されています。
以前は「躁うつ病」という名前がよく使われていました。
「躁」と「うつ」という言葉から、
元気な日と落ち込む日が交互に来る病気
というイメージを持つ方もいるかもしれません。
しかし、単純に一日の中で気分が上がったり下がったりするという意味ではありません。
躁状態・軽躁状態・うつ状態にはそれぞれ特徴があり、その程度や期間、生活への影響などを医師が総合的に判断します。
普通の気分の浮き沈みとは違う
誰でも気分が良い日と悪い日はあります。
仕事で褒められればうれしくなりますし、失敗すれば落ち込むこともあります。
これは自然な感情の変化です。
そのため、
「昨日は元気だったけど今日は落ち込んでいる」
というだけで双極性障害とは判断できません。
双極性障害では、気分だけでなく、
活動性
睡眠
考え方
話し方
行動
などにも大きな変化が現れることがあります。
NCNPも、周囲の人が「いつもの本人とは違う」と感じ、家族や周囲が困ったり社会生活に大きな影響が出たりするほど気分が行き過ぎることがあると説明しています。
躁状態とは?
双極性障害を理解するうえで重要なのが躁状態です。
躁状態になると、単純に「元気になる」だけではありません。
例えば、
- あまり眠っていないのに元気に活動する
- 非常によく話す
- 次々と考えが浮かぶ
- 自分に強い自信を持つ
- 活動量が大幅に増える
- 人の意見を聞かなくなる
- 高額な買い物をしてしまう
- ギャンブルなどで多額のお金を使ってしまう
- 対人関係でトラブルになる
などの変化がみられる場合があります。
NCNPでは、睡眠時間が短くても平気になる、話し続ける、根拠のない自信に満ちる、買い物やギャンブルに莫大な金額を使うなどを躁状態のサインとして紹介しています。
本人にとっては非常に調子が良く感じられる場合もあります。
そのため、
「病気になっている」
という自覚を持ちにくいことがあるのも特徴です。
周囲の家族や友人の方が先に異変に気づく場合もあります。
軽躁状態とは?
「躁状態」より程度が軽いものとして軽躁状態があります。
軽躁状態では、
「いつもより活動的」
「よくしゃべる」
「睡眠時間が少なくても元気」
「仕事や趣味をどんどん進める」
などの変化がみられることがあります。
本人としては、
「むしろ絶好調」
と感じる場合もあります。
そのため、軽躁状態そのものを問題だと思わず、医療機関を受診しないケースもあります。
しかし、この軽躁状態の有無が、うつ病と双極性障害を区別するうえで非常に重要になります。
日本精神神経学会も、躁状態ほど重くなく入院を要するほどではない状態を軽躁状態と説明しています。
うつ状態ではどんな症状が出る?
双極性障害では、うつ状態になることもあります。
例えば、
- 気分が落ち込む
- 何をしても楽しくない
- やる気が出ない
- 強い疲労感がある
- 集中することが難しい
- 睡眠に変化が出る
- 食欲が変化する
- 自分を責めてしまう
- 仕事や学校へ行くことが難しくなる
などです。
症状だけを見ると、一般的なうつ病と非常によく似ています。
そのため、うつ状態のときだけ医療機関を受診すると、過去の躁状態・軽躁状態に本人も気づいておらず、区別が難しい場合があります。
NCNPも、本当は双極性障害であるものの軽い躁状態に気づかず、うつ病として診断されているケースがある一方、逆の誤認もあり得ると説明しています。
双極Ⅰ型と双極Ⅱ型の違い
双極性障害は、大きく双極Ⅰ型と双極Ⅱ型に分けられます。
簡単に整理すると、
| 双極Ⅰ型 | 双極Ⅱ型 | |
|---|---|---|
| 躁の状態 | 躁状態がある | 軽躁状態がある |
| うつ状態 | 現れることがある | 現れる |
| 躁の程度 | 強い | Ⅰ型の躁状態より軽い |
| 生活への影響 | 躁状態によって非常に大きくなることがある | 軽躁状態を本人が問題と感じないこともある |
特に注意したいのが、
「Ⅱ型=Ⅰ型より簡単・軽い病気」
と単純には考えられないことです。
Ⅱ型では本格的な躁状態はありませんが、うつ状態による苦痛や生活への影響が大きいことがあります。
そのためⅠ型・Ⅱ型という分類だけで、本人がどれだけ大変なのかを判断することはできません。
双極性障害とうつ病は何が違う?
これは非常に重要なポイントです。
双極性障害とうつ病は同じ病気ではありません。
双極性障害では躁状態または軽躁状態が現れます。
一方、いわゆる単極性のうつ病では躁状態・軽躁状態を伴いません。
うつ状態の症状だけを見ると非常によく似ているため、過去の状態について確認することが重要になります。
例えば、
「以前、ほとんど寝なくても元気だった時期がある」
「普段では考えられないくらい活動的だった」
「異常に自信があった」
「高額な買い物を繰り返した」
「家族から『あの時は普段と全然違った』と言われた」
などがあれば、診察時に医師へ伝えることが大切です。
治療方針も異なるため、自己判断で「自分はうつ病」「自分は双極性障害」と決めるのではなく、医師にこれまでの経過を伝えて診断を受けることが重要です。
双極性障害の原因は?
双極性障害について、
「ストレスが原因なの?」
と思う方もいるかもしれません。
しかし、
「○○をしたから双極性障害になった」
というように、単一の原因で説明できる病気ではありません。
発症にはさまざまな要因が関係すると考えられています。
また、本人の性格や努力不足が原因というものでもありません。日本精神神経学会も、双極性障害について性格・努力・人間性の問題ではないと説明しています。
そのため、
「気持ちを強く持てば治る」
「本人がもっと頑張ればいい」
と考えるのは適切ではありません。
双極性障害はどうやって診断する?
双極性障害は、血液検査や画像検査だけで、
「双極性障害です」
と確定できる病気ではありません。
医師が、
現在の症状
これまでの気分の変化
躁状態・軽躁状態の有無
うつ状態の経過
睡眠や行動の変化
仕事・学校・家庭生活への影響
などを確認して診断していきます。
本人が躁状態・軽躁状態を「調子が良かった時期」と思っていることもあります。
その場合、本人だけでは過去の変化に気づきにくいため、家族など周囲からの情報が診断の参考になることもあります。
気分の記録をつけるのも一つの方法
双極性障害では、日々の状態を記録しておくことが役立つ場合があります。
例えば、
睡眠時間
気分
活動量
薬の服用
仕事・学校の状況
などです。
日本うつ病学会も、患者・家族向けに「睡眠・覚醒リズム表」「ライフチャート」「ソーシャル・リズム・メトリック」などの資料を公開しています。
自分では気づきにくい、
「最近睡眠時間がかなり短くなっている」
「活動量が急激に増えている」
といった変化を把握する助けにもなります。
双極性障害の治療
双極性障害の治療では、薬物療法と心理社会的なアプローチなどが用いられます。
NCNPは、薬物療法を基本に治療を組み立て、主に気分安定薬や非定型抗精神病薬などが使われると説明しています。躁状態、うつ状態、症状が安定した維持期では治療方法も異なります。
双極性障害は人によって症状や経過が異なるため、
「双極性障害ならこの薬を飲めばいい」
という単純なものではありません。
医師が状態を確認しながら治療を調整します。
薬を自己判断でやめないことが大切
症状が落ち着いてくると、
「もう治ったから薬はいらないのでは?」
と思うこともあるかもしれません。
しかし、自己判断で薬を急に中止したり、量を変更したりするのは避けるべきです。
特に双極性障害では、現在の状態だけではなく、再発を防ぐための維持治療も重要になります。
薬について困ったことや副作用がある場合は、自分で調整するのではなく主治医へ相談しましょう。
また、一部の薬では血中濃度などを確認しながら量を調整する必要があります。
抗うつ薬についても自己判断しない
双極性障害のうつ状態を、
「うつなんだから普通の抗うつ薬を飲めばいい」
と自己判断することも危険です。
双極性障害とうつ病では治療方針が異なります。日本うつ病学会は双極性障害について独立した診療ガイドラインを設けています。
現在抗うつ薬などを服用していて、
「自分は双極性障害なのでは?」
と思った場合も、薬を勝手に中止するのではなく、まず主治医に相談してください。
生活リズムも大切
治療では薬だけではなく、生活リズムを整えることも重要です。
特に、
睡眠時間を大きく乱さない
起床・就寝時間をなるべく安定させる
無理な予定を詰め込みすぎない
自分の気分や活動量の変化を確認する
といったことが役立つ場合があります。
調子が良いからといって睡眠を削って活動し続けると、状態の変化に気づきにくくなることがあります。
「元気だから大丈夫」だけで判断せず、睡眠や活動量も一緒に確認することが大切です。
周囲の人が気づくこともある
躁状態・軽躁状態では、本人より家族や友人の方が変化に気づくことがあります。
例えば、
「最近ほとんど寝ていない」
「急にものすごく話すようになった」
「高額な買い物が増えた」
「普段と性格が違うように感じる」
などです。
本人にとっては「絶好調」に感じられている可能性があるため、周囲からの指摘を受け入れにくい場合もあります。
普段の状態を知っている人の意見も、状態を把握するうえで参考になることがあります。
双極性障害でも仕事はできる?
双極性障害があるからといって、必ず仕事ができないというわけではありません。
適切な治療を受けながら働いている人もいます。
一方で、症状が強い時期には、
集中できない
朝起きられない
疲れやすい
対人関係が難しくなる
躁状態で活動しすぎる
など、仕事に影響する場合があります。
そのため、
「病名だけで働ける・働けない」
と考えるのではなく、現在の症状や仕事内容、必要な配慮などを個別に考えることが重要です。
精神障害者保健福祉手帳の対象になる?
双極性障害によって日常生活や社会生活に一定の制限があり、基準を満たす場合には、精神障害者保健福祉手帳の対象になる可能性があります。
ただし、
双極性障害と診断された=必ず手帳を取得できる
という意味ではありません。
実際の状態や生活への影響などをもとに審査されます。
精神障害者保健福祉手帳には1級・2級・3級があります。
手帳を取得すると、条件に応じて税金の控除や各種支援制度、障害者雇用などを利用できる場合があります。
障害年金の対象になることもある
双極性障害によって日常生活や仕事などに大きな制限があり、障害年金の認定基準などを満たせば、障害年金の対象になる可能性もあります。
ここでも、
双極性障害という診断名だけで障害年金が決まるわけではありません。
病状だけでなく、日常生活能力や就労状況なども含めて判断されます。
また、
精神障害者保健福祉手帳の等級=障害年金の等級
ではありません。
手帳と障害年金は別の制度です。
自立支援医療(精神通院医療)を利用できる場合もある
双極性障害で精神科や心療内科への継続的な通院治療が必要な場合には、**自立支援医療(精神通院医療)**を利用できる可能性があります。
自立支援医療を利用すると、対象となる精神科の通院医療について、原則として自己負担が3割から1割に軽減されます。
さらに、所得などに応じて月額の自己負担上限額が設定される場合があります。
ただし、対象となる医療・医療機関などには条件があります。
「もしかして双極性障害?」と思ったら
ネット上には、
「これに○個当てはまったら双極性障害」
といったチェックリストもあります。
しかし、自己診断だけで判断するのはおすすめできません。
特に双極性障害とうつ病では治療方針が異なるため、
「落ち込んでいるからうつ病」
「テンションが上がることがあるから双極性障害」
と単純には判断できません。
気になる状態が続いている場合は、精神科などの医療機関で相談してみてください。
その際、
いつ頃から症状があるのか
過去に異常に元気だった時期がなかったか
睡眠時間が極端に短くなったことがないか
大きな買い物や普段と違う行動がなかったか
などを整理しておくと、医師に経過を伝えやすくなります。
まとめ
双極性障害(双極症)は、躁状態または軽躁状態とうつ状態などが現れる精神疾患です。
躁状態では、
睡眠時間が短くても活動できる
非常によく話す
強い自信を持つ
活動量が増える
浪費などの行動がみられる
といった変化が現れることがあります。
一方、うつ状態では、
気分が落ち込む
意欲がなくなる
疲れやすくなる
仕事や学校へ行くことが難しくなる
などの症状が現れる場合があります。
大切なのは、普通の気分の浮き沈みと双極性障害を同じものとして考えないことです。
また、双極性障害とうつ病は治療方針が異なるため、自己診断や自己判断による薬の変更をしないことも重要です。
気になる症状がある場合は医療機関へ相談し、これまでの気分・睡眠・活動量などの変化について医師に伝えてみてください。
適切な治療と支援につながることが、安定した生活を送るための第一歩になります。日本精神神経学会も、適切な治療と療養によって回復が十分期待できると説明しています。
※この記事は2026年9月時点の一般的な情報をもとに作成しています。診断・治療については医師などの専門家へご相談ください。
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