特別障害者とは?対象となる手帳・等級や障害者控除との違いをわかりやすく解説
こんにちは、にゃひちです。
今回は、**「特別障害者」**について解説します。
障害者手帳や税金について調べていると、
「障害者」と「特別障害者」
という2つの言葉を見かけることがあります。
「特別障害者という手帳があるの?」
「精神障害者保健福祉手帳2級は対象?」
「療育手帳なら何級?」
「普通の障害者控除と何が違う?」
など、少し分かりにくい制度です。
まず重要なのは、「特別障害者」という名前の障害者手帳があるわけではないということです。
特別障害者とは、主に税法上、障害者のうち障害の程度が重い人について使われる区分です。
今回は特別障害者について、できるだけ分かりやすく解説します。
特別障害者とは?
所得税では、本人や一定の要件を満たす配偶者・扶養親族が「障害者」に該当する場合、障害者控除を受けることができます。
そして、障害者の中でも障害の程度が重く、一定の条件に該当する人については**「特別障害者」**として、通常より大きな所得控除が設けられています。
つまり、
障害者 → 一定の障害がある人
特別障害者 → その中でも税法上の一定の重い障害に該当する人
と考えると分かりやすいでしょう。
なお、これは障害者手帳そのものの名称ではありません。
「特別障害者手帳」という手帳を取得するわけではないので注意しましょう。
障害者控除とは?
障害者控除とは、本人や一定の要件を満たす家族が障害者に該当するときに利用できる所得控除です。
所得税では現在、控除額が次のように分かれています。
| 区分 | 所得税の障害者控除額 |
|---|---|
| 障害者 | 27万円 |
| 特別障害者 | 40万円 |
| 同居特別障害者 | 75万円 |
ここで非常に間違えやすいのですが、
「特別障害者なら40万円もらえる」
という制度ではありません。
40万円を現金でもらえるのではなく、税金を計算するときの所得から40万円を差し引けるという意味です。
そのため、実際にどれくらい税金が安くなるかは、その人の所得などによって変わります。
精神障害者保健福祉手帳では何級が特別障害者?
精神障害者保健福祉手帳の場合は非常に分かりやすく、
1級 → 特別障害者
2級・3級 → 障害者
という扱いになります。
つまり、精神障害者保健福祉手帳2級だからといって、税法上の「特別障害者」になるわけではありません。
前回の記事で精神障害者保健福祉手帳の1級・2級・3級について紹介しましたが、税制面でも1級と2・3級には違いがあるということです。
身体障害者手帳では何級が対象?
身体障害者手帳の場合、所得税では、
1級・2級 → 特別障害者
3級~6級 → 障害者
となるのが基本です。
そのため、例えば身体障害者手帳2級の方は、所得税の障害者控除では40万円の特別障害者控除の対象となります。
同じ「2級」でも、
身体障害者手帳2級 → 特別障害者
精神障害者保健福祉手帳2級 → 通常の障害者
となる点には注意が必要です。
手帳によって基準が違います。
療育手帳の場合はどうなる?
ここは少し複雑です。
療育手帳は身体障害者手帳や精神障害者保健福祉手帳とは違い、自治体によって名称や障害程度の区分が異なります。
例えば、
「A・B」
「A1・A2・B1・B2」
などの区分が使われている地域があります。
所得税上は、重度の知的障害と判定された方が特別障害者に該当します。
そのため、
「療育手帳Aなら全国どこでも絶対この扱い」
と手帳の名称だけで説明するよりも、自治体の判定内容を確認することが重要です。
一方、重度ではない知的障害と判定されている場合は、通常の「障害者」に該当することがあります。
障害年金1級なら特別障害者になる?
ここも非常に重要です。
障害年金と税金の障害者控除は別の制度です。
そのため、
「障害年金1級だから自動的に税法上の特別障害者」
「障害年金2級だから障害者控除が受けられる」
と単純に決まるわけではありません。
障害年金と障害者手帳では目的も認定基準も異なります。
さらに、障害年金そのものは原則として所得税が課税されない年金です。
制度の「1級・2級」という数字が同じでも、同じ意味ではないので注意しましょう。
同居特別障害者とは?
特別障害者について調べると、さらに**「同居特別障害者」**という言葉が出てきます。
これも「同居特別障害者」という新しい種類の手帳があるわけではありません。
控除対象配偶者や扶養親族が特別障害者であり、納税者本人やその配偶者、生計を一にする一定の親族と常に同居している場合などに、所得税の障害者控除が大きくなる制度です。
通常の特別障害者控除が40万円なのに対して、
同居特別障害者の控除額は75万円
となります。
「同居している本人」が75万円になるわけではない
ここは特に勘違いしやすいところです。
例えば自分自身が特別障害者で、親と一緒に暮らしているからといって、
自分自身の障害者控除が75万円になるわけではありません。
本人自身が特別障害者である場合の本人の所得税上の障害者控除は40万円です。
75万円となる「同居特別障害者」は、一定の要件を満たす控除対象配偶者や扶養親族について適用される区分です。
「家族と同居している特別障害者なら全員75万円」という意味ではないので注意しましょう。
住民税にも障害者控除がある
障害者控除は所得税だけではありません。
住民税にも障害者控除があります。
一般的には、
| 区分 | 住民税の控除額 |
|---|---|
| 障害者 | 26万円 |
| 特別障害者 | 30万円 |
| 同居特別障害者 | 53万円 |
となっています。
所得税とは控除額が違うことに注意しましょう。
障害者控除によって課税所得が下がれば、所得税や住民税の負担が軽くなる可能性があります。
障害者控除は会社員でも利用できる?
もちろん会社員でも対象になります。
会社員の場合は、勤務先で行う年末調整で障害者控除を申告する方法があります。
年末調整で申告しなかった場合でも、条件を満たしていれば確定申告によって控除を適用できる場合があります。
「障害者手帳を持っているけど、障害者控除を申告していなかった」
という方は、一度確認してみるとよいでしょう。
家族が障害者の場合も控除できる?
障害者控除は、納税者本人が障害者の場合だけの制度ではありません。
一定の要件を満たす同一生計配偶者や扶養親族が障害者である場合にも、納税者側で障害者控除を受けられることがあります。
さらに、その家族が特別障害者に該当し、同居などの条件も満たしていれば、先ほど紹介した同居特別障害者として扱われる場合があります。
そのため、障害のある本人に課税される所得がほとんどない場合でも、家族側の税金に関係してくるケースがあります。
特別障害者になると福祉サービスも全部増える?
ここは注意が必要です。
「特別障害者」という税法上の区分になったから、すべての障害福祉サービスが増えるわけではありません。
障害者向けの制度には、
- 障害者手帳の種類・等級
- 障害支援区分
- 所得
- 年齢
- 障害の状態
- 自治体独自の条件
など、それぞれ別の基準があります。
そのため、
「特別障害者=すべての福祉制度で最重度扱い」
というわけではありません。
制度ごとに条件を確認する必要があります。
「特別障害者手当」とは別物
名前が非常に似ていますが、
特別障害者
と
特別障害者手当
は別のものです。
特別障害者手当は、精神または身体に著しく重度の障害があり、日常生活で常時特別な介護を必要とする20歳以上の方などを対象とした手当の制度です。
つまり、
特別障害者 → 税制などで使われる区分
特別障害者手当 → 重度障害者を対象とした給付制度
という違いがあります。
名前が似ているので、検索するときには注意しましょう。
また、税法上の特別障害者に該当するからといって、必ず特別障害者手当を受給できるわけではありません。
特別障害者を簡単に比較
最後に整理してみます。
| 手帳など | 所得税上の扱いの目安 |
|---|---|
| 精神障害者保健福祉手帳1級 | 特別障害者 |
| 精神障害者保健福祉手帳2級 | 障害者 |
| 精神障害者保健福祉手帳3級 | 障害者 |
| 身体障害者手帳1級 | 特別障害者 |
| 身体障害者手帳2級 | 特別障害者 |
| 身体障害者手帳3~6級 | 障害者 |
| 重度の知的障害と判定 | 特別障害者 |
| その他の知的障害 | 障害者 |
ただし、実際の税務上の判定については、手帳や判定内容などを確認したうえで判断する必要があります。
分からない場合は税務署や自治体の税務担当窓口などに確認しましょう。
まとめ
今回は特別障害者について解説しました。
特に覚えておきたいポイントは、
- 「特別障害者」という名前の障害者手帳があるわけではない
- 障害者の中でも一定の重い障害がある人について使われる税法上の区分
- 所得税の障害者控除は通常の障害者が27万円
- 特別障害者は40万円
- 同居特別障害者は75万円
- 精神障害者保健福祉手帳では1級が特別障害者
- 身体障害者手帳では1級・2級が特別障害者
- 療育手帳では重度の知的障害と判定された場合などが対象
- 住民税にも障害者控除がある
- 本人だけでなく、一定の要件を満たす家族について控除を受けられる場合もある
- 障害年金とは別制度
- 「特別障害者手当」とも別制度
- 特別障害者だからすべての福祉サービスが利用できるわけではない
特にややこしいのが、「障害者手帳の等級」「障害年金の等級」「税法上の特別障害者」は、それぞれ別の仕組みという点です。
同じ「1級・2級」という言葉が使われていても意味は異なります。
自分が特別障害者に該当する場合、障害者控除によって税負担を軽減できる可能性があるため、会社員なら年末調整、自分で申告する場合は確定申告の際に忘れず確認しておきましょう。
この記事が「特別障害者って何?」と疑問に思っている方の参考になれば幸いです。
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