発達障害と精神障害の違いとは?障害者手帳の種類もわかりやすく解説
こんにちは、にゃひちです。
今回は、発達障害と精神障害の違いについて解説します。
発達障害と精神障害は同じように扱われることもあるため、
「ADHDは精神障害なの?」
「発達障害なら何の障害者手帳を取得するの?」
「発達障害と精神障害の両方を持つことはある?」
と疑問に思っている方もいると思います。
特に分かりにくいのが障害者手帳の種類です。
結論からいうと、発達障害と精神障害は同じものではありませんが、ADHDやASDなどの発達障害でも、条件を満たせば精神障害者保健福祉手帳の対象になることがあります。
今回は、この違いをできるだけ分かりやすく解説します。
発達障害とは?
発達障害とは、生まれつきの脳機能の発達の違いなどによって、コミュニケーション・注意・行動・学習などに特徴が現れるものです。
代表的なものとして、
- 自閉スペクトラム症(ASD)
- 注意欠如・多動症(ADHD)
- 限局性学習症(SLD)
などがあります。
ADHD
ADHDでは主に、
- 集中が続きにくい
- 忘れ物が多い
- 物をなくしやすい
- 落ち着いて待つことが苦手
- 衝動的に行動してしまう
- 仕事の優先順位を決めるのが苦手
などの特徴がみられることがあります。
自閉スペクトラム症(ASD)
ASDでは、
- 人とのコミュニケーションが苦手
- 相手の気持ちや意図を読み取るのが難しい
- 強いこだわりがある
- 急な予定変更が苦手
- 特定の物事に強い興味を持つ
などの特徴がみられる場合があります。
ただし、発達障害の特徴は人によってかなり異なります。
同じADHDやASDでも、得意なことや苦手なこと、必要な支援は一人ひとり違います。
精神障害とは?
精神障害とは、精神疾患などによって精神機能に影響が生じ、日常生活や社会生活に困難が出ている状態を指します。
代表的な精神疾患には、
- うつ病
- 双極性障害
- 統合失調症
- 不安障害
- 適応障害
- てんかん
などがあります。
例えば、うつ病では、
- 強い気分の落ち込み
- 何をしても楽しめない
- 意欲が低下する
- 疲れやすくなる
- 集中できない
- 睡眠や食欲に変化が出る
などの症状がみられることがあります。
精神疾患についても症状や重症度は人によって異なります。
発達障害と精神障害の大きな違い
分かりやすくいうと、発達障害は発達期からみられる特性であるのに対して、精神疾患はさまざまな要因が関係して後から発症することがあります。
簡単に比較してみましょう。
| 発達障害 | 精神障害・精神疾患 | |
|---|---|---|
| 代表例 | ADHD・ASD・SLDなど | うつ病・統合失調症・双極性障害など |
| 特徴 | 発達期から特性がみられる | 後から発症するものも多い |
| 主な困りごと | 注意・対人関係・行動・学習など | 気分・思考・意欲・不安など |
| 原因 | 神経発達の違いなど | 疾患によってさまざま |
| 治療・支援 | 環境調整、心理社会的支援、必要に応じて薬物療法など | 疾患に応じた薬物療法・心理療法・環境調整など |
| 手帳 | 精神障害者保健福祉手帳の対象になる場合がある | 精神障害者保健福祉手帳の対象になる場合がある |
ここで注意したいのは、「発達障害は生まれつきだから治療する意味がない」ということではありません。
特性そのものを完全になくすことを目的にするのではなく、困っている症状を軽減したり、本人が生活しやすい環境を整えたりすることが重要になります。
発達障害と精神障害を両方持つことはある?
あります。
例えば発達障害がある人が、同時にうつ病や不安障害などを抱えることもあります。
発達障害によって、
「仕事でミスを繰り返してしまう」
「人間関係がうまくいかない」
「周囲と同じように仕事ができない」
「環境に適応するために無理を続けている」
などの悩みを抱え、それが大きなストレスになることもあります。
ただし、発達障害があるから必ず精神疾患になるわけではありません。
反対に、うつ病などの精神疾患があるから発達障害になるわけでもありません。
発達障害と精神疾患は別々に存在し、両方が併存することもあると考えると分かりやすいでしょう。
発達障害の場合、障害者手帳は何になる?
ここが今回の記事で特に重要な部分です。
日本には大きく分けて、
① 身体障害者手帳
身体機能に一定以上の障害がある方を対象とした手帳です。
② 療育手帳
主に知的障害のある方を対象とした手帳です。
名称や判定基準、区分などについては自治体によって違いがあります。
③ 精神障害者保健福祉手帳
一定程度の精神障害の状態にある方を対象とする手帳です。
そして、ADHDやASDなどの発達障害についても、精神障害者保健福祉手帳の対象になる場合があります。
つまり、
「発達障害だから発達障害者手帳を取得する」わけではありません。
現在、日本には「発達障害者手帳」という独立した手帳はありません。
発達障害によって日常生活や社会生活に一定の制約があり、基準を満たした場合には、精神障害者保健福祉手帳を申請することになります。
発達障害の診断があれば必ず手帳を取得できる?
これは間違えやすいところですが、
発達障害と診断されたからといって、必ず精神障害者保健福祉手帳を取得できるわけではありません。
精神障害者保健福祉手帳では、病名だけではなく、精神障害の状態や日常生活・社会生活への影響などを踏まえて審査されます。
そのため、
「ADHDの診断がある=必ず3級」
「ASDだから必ず手帳が取れる」
というものではありません。
取得できる可能性があるか知りたい場合は、まず主治医や自治体の障害福祉窓口などへ相談するとよいでしょう。
精神障害者保健福祉手帳には1~3級がある
精神障害者保健福祉手帳には、
1級・2級・3級
の3つの等級があります。
大まかには、精神障害によって日常生活や社会生活にどの程度の制約があるのかなどによって判断されます。
一般的には1級の方が障害の程度が重く、続いて2級、3級となります。
ただし、単純に診断名や「働いている・働いていない」だけで等級が決まるわけではありません。
生活状況なども含めて総合的に審査されます。
発達障害と知的障害の両方がある場合は?
発達障害と知的障害を両方持っている方もいます。
例えば、
ASD+知的障害
ADHD+知的障害
などです。
この場合、条件を満たせば療育手帳と精神障害者保健福祉手帳の両方を持てる場合があります。
ただし、療育手帳については自治体ごとに制度や判定基準が異なります。
また、複数の手帳を持っていたとしても、同じ福祉サービスや割引を二重に受けられるとは限りません。
精神障害者保健福祉手帳を取得するメリット
手帳を取得すると、さまざまな支援制度を利用できる場合があります。
例えば、
- 障害者雇用への応募
- 所得税・住民税の障害者控除
- 公共施設などの割引
- 自治体独自の福祉サービス
- 公共交通機関などの割引
- 一部企業や施設の障害者割引
などがあります。
ただし、利用できる制度は等級や自治体、サービスを提供している事業者によって異なります。
「精神障害者保健福祉手帳を取得すれば全部無料になる」というものではないので注意しましょう。
障害者手帳と障害年金は別の制度
ここも非常に重要です。
障害者手帳と障害年金は別の制度です。
例えば、
「精神障害者保健福祉手帳2級だから障害年金も2級になる」
というわけではありません。
反対に、
「手帳を持っていないから障害年金を申請できない」
というわけでもありません。
それぞれ目的や認定基準が異なり、別々に審査されます。
そのため、手帳の等級と障害年金の等級が一致しない場合もあります。
発達障害でも自立支援医療を利用できる?
発達障害によって継続的な精神科・心療内科などへの通院治療が必要な場合、自立支援医療(精神通院医療)の対象になる可能性があります。
自立支援医療が認められると、対象となる精神科等の通院医療について、原則として自己負担が3割から1割になります。
さらに、所得や状態などに応じて月ごとの自己負担上限額が設定される場合があります。
発達障害で定期的に通院していたり、薬を処方してもらっていたりする方は、主治医や自治体へ相談してみるとよいでしょう。
発達障害でも障害年金を受給できる?
発達障害も、状態によっては障害年金の対象になる可能性があります。
ただし、こちらも診断名だけで決まるものではありません。
発達障害によって日常生活や仕事にどの程度の制限が生じているのかなどが重要になります。
障害年金には、
- 障害基礎年金
- 障害厚生年金
などがあり、初診日や保険料納付要件などによって請求できる制度が変わる場合があります。
申請を検討している場合は、年金事務所や主治医、必要に応じて社会保険労務士などへ相談するとよいでしょう。
障害者雇用で働くこともできる
精神障害者保健福祉手帳などを取得している場合、条件を満たせば障害者雇用枠で仕事を探すこともできます。
障害者雇用では、本人の特性に合わせて、
- 指示を具体的にしてもらう
- 一度にたくさんの仕事を任せない
- 静かな環境で働く
- 定期的に面談する
- 業務内容を調整する
などの合理的配慮を相談できる場合があります。
発達障害では、
「仕事ができない」
というよりも、仕事内容や職場環境との相性によって働きやすさが大きく変わることがあります。
自分の得意・不得意を理解して、自分に合った環境を探すことが大切です。
発達障害と精神障害、どちらが重い?
「発達障害と精神障害ならどちらの方が重いの?」
と思う方もいるかもしれません。
しかし、単純に比較することはできません。
同じADHDでも日常生活への影響が比較的小さい人もいれば、大きな支援が必要な人もいます。
うつ病や統合失調症などの精神疾患についても同じです。
重要なのは診断名だけを見るのではなく、その人が実際の生活で何に困っていて、どのような支援が必要なのかを見ることです。
困っている場合は専門機関へ相談しよう
発達障害や精神疾患によって日常生活や仕事に困っている場合、一人ですべて解決する必要はありません。
相談先としては、
- 精神科・心療内科
- 発達障害者支援センター
- 自治体の障害福祉窓口
- ハローワーク
- 障害者就業・生活支援センター
- 就労移行支援事業所
などがあります。
「障害者手帳を取得できるのか知りたい」
という場合も、主治医や自治体へ相談するとよいでしょう。
まとめ
発達障害と精神障害は似た言葉として扱われることがありますが、まったく同じものではありません。
今回のポイントをまとめると、
- 発達障害にはADHD・ASD・SLDなどがある
- 精神疾患にはうつ病・統合失調症・双極性障害などがある
- 発達障害は発達期から特性がみられる
- 発達障害と精神疾患を両方持つこともある
- 発達障害でも精神障害者保健福祉手帳の対象になる場合がある
- 「発達障害者手帳」という独立した手帳はない
- 知的障害では療育手帳の対象になる場合がある
- 知的障害と発達障害の両方がある人もいる
- 条件を満たせば複数種類の手帳を持てる場合もある
- 手帳と障害年金は別の制度
- 発達障害でも自立支援医療や障害年金の対象になる可能性がある
- 診断名だけではなく、日常生活や社会生活への影響が重要
特に覚えておきたいのは、
「発達障害=療育手帳」ではない
ということです。
ADHDやASDなどの発達障害で障害者手帳を取得する場合は、一定の基準を満たせば精神障害者保健福祉手帳の対象になります。
一方、知的障害の場合は、自治体の判定基準を満たせば療育手帳の対象となります。
制度は少し複雑ですが、自分に合った制度や支援を利用することで、仕事や日常生活の負担を減らせる可能性があります。
この記事が、発達障害と精神障害の違いや障害者手帳について知りたい方の参考になれば幸いです。
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