解離性同一性障害(多重人格障害)とは?症状・原因・治療方法や障害者手帳・障害年金について解説
こんにちは、にゃひちです。
皆さんは「解離性同一性障害」という病気を知っていますか?
以前は「多重人格障害」と呼ばれていたため、こちらの名前を聞いたことがある人もいるかもしれません。
映画やドラマでは、突然人格が切り替わる人物として描かれることがあります。
しかし、実際の解離性同一性障害は、映画やドラマのような分かりやすい人格交代だけが特徴ではありません。
記憶が抜け落ちたり、自分が自分ではないように感じたりするなど、日常生活にさまざまな影響が出る場合があります。
また、症状が重い場合には、仕事や日常生活に支障が出ることもあります。
今回は、解離性同一性障害の症状・原因・治療方法・仕事への影響について解説します。
さらに、精神障害者保健福祉手帳や障害年金の対象になるのかについても紹介します。
解離性同一性障害とは?
解離性同一性障害(Dissociative Identity Disorder:DID)とは、2つ以上の異なる人格状態が現れ、自分自身であるという感覚や、自分の意思で行動しているという感覚に不連続が生じる精神疾患です。
「解離性同一症」という名称も使われています。
以前は「多重人格障害」と呼ばれていました。
ただし、実際に複数の人間が体の中に存在するという意味ではありません。
人格状態によって、感情や考え方、話し方、行動などが変化する場合があります。
また、重要な特徴として、日常生活の出来事や自分自身に関する記憶が抜け落ちることがあります。
解離とは?
解離とは、通常はつながっている意識・記憶・感情・自分自身という感覚などが、切り離されたような状態になることです。
例えば、強いストレスを感じたときに、自分が自分ではないように感じたり、周囲の世界が現実ではないように感じたりする場合があります。
ただし、こうした体験が一度あっただけで、解離性同一性障害と診断されるわけではありません。
解離にはさまざまな症状があり、解離性同一性障害はその中の一つです。
解離性同一性障害の主な症状
① 複数の人格状態が現れる
解離性同一性障害の特徴の一つが、複数の人格状態が現れることです。
人格状態によって、話し方や感情、考え方、行動などが異なる場合があります。
例えば、普段とは違う話し方になったり、自分の行動を自分でコントロールできていないように感じたりすることがあります。
ただし、すべての人が周囲からはっきり分かるほど変化するわけではありません。
外見や話し方に大きな変化が見られず、本人の内面で変化を感じる場合もあります。
② 記憶が抜け落ちる
解離性同一性障害では、通常の物忘れでは説明しにくい記憶の空白が生じることがあります。
例えば、次のような症状です。
- 自分が話した内容を覚えていない
- 買い物をした記憶がない
- いつの間にか別の場所に移動していた
- 過去の一定期間の記憶がない
- 自分が書いたメモを覚えていない
こうした記憶の空白は、本人にとって大きな不安につながる場合があります。
ただし、記憶が抜け落ちる原因には、ほかの精神疾患や身体的な病気、薬の影響などもあります。
そのため、記憶障害があるからといって、必ず解離性同一性障害というわけではありません。
③ 自分が自分ではないように感じる
自分の体や感情が、自分のものではないように感じる場合があります。
これは「離人感」と呼ばれる症状です。
例えば、自分の行動を外側から眺めているように感じることがあります。
また、周囲の世界が現実ではないように感じる「現実感消失」が生じる人もいます。
④ 不安や抑うつなどの症状
解離性同一性障害では、不安や抑うつ、不眠などの症状を伴う場合があります。
また、強い心理的苦痛がある場合には、自傷行為や自殺に関する問題が生じることもあります。
そのため、人格状態の変化だけでなく、精神的な苦痛や安全面にも注意が必要です。
解離性同一性障害の原因は?
解離性同一性障害は、特に幼少期の強いストレスや心的外傷(トラウマ)との関連が指摘されています。
例えば、繰り返される虐待や、逃れることが難しい強い恐怖などが関係する場合があります。
ただし、すべての患者について同じ原因が確認されているわけではありません。
また、トラウマを経験した人が必ず解離性同一性障害になるわけでもありません。
発症には複数の心理的・発達的な要因が関係すると考えられています。
本人の性格が弱いから発症するというものではありません。
解離性同一性障害は珍しい病気?
解離性同一性障害は、一般的には比較的まれな精神疾患として扱われています。
ただし、正確な患者数や有病率については不確実な点があります。
また、症状が周囲から分かりにくかったり、本人が症状を隠していたりする場合もあります。
映画やドラマのように、誰が見ても人格が切り替わったと分かるとは限りません。
そのため、外見だけで病気を判断することは難しいといえます。
解離性同一性障害と統合失調症の違い
解離性同一性障害と統合失調症は、混同されることがあります。
しかし、両者は異なる精神疾患です。
| 比較項目 | 解離性同一性障害 | 統合失調症 |
|---|---|---|
| 主な特徴 | 自己同一性の不連続や記憶の空白 | 幻覚・妄想・思考のまとまりにくさなど |
| 人格状態の交代 | 特徴の一つ | 中心的な特徴ではない |
| 記憶の空白 | 重要な特徴 | 必須の特徴ではない |
| 治療 | 精神療法が中心 | 薬物療法や心理社会的支援など |
ただし、解離性同一性障害でも声が聞こえる体験などが生じる場合があります。
症状が重なることもあるため、自分で病名を判断せず、専門医による評価を受けることが重要です。
解離性同一性障害は治る?治療方法について
解離性同一性障害の治療では、精神療法が中心となります。
治療の目標は、症状による苦痛を軽減し、安全で安定した生活を送れるようにすることです。
① 精神療法
専門家との面接を通じて、感情の安定や症状への対処方法を身につけていきます。
治療では、まず安全を確保し、日常生活を安定させることが重要です。
必要に応じて、過去のトラウマについて慎重に取り扱う場合もあります。
ただし、つらい記憶を無理に思い出そうとすることは勧められません。
治療には長い時間が必要になることもあります。
② 人格状態の統合や協調を目指す
治療では、異なる人格状態を統合することが目標になる場合があります。
ただし、すべての人が人格状態の統合を目指すわけではありません。
人格状態同士の協調を促し、記憶の空白や生活上の困難を減らすことも重要な治療目標です。
③ 薬物療法
解離性同一性障害そのものを直接治すと確立された薬はありません。
ただし、うつ症状や不安、不眠などがある場合には、それらの症状に対して薬が使用されることがあります。
薬の使用や変更については、必ず主治医と相談することが大切です。
解離性同一性障害があると仕事はできない?
解離性同一性障害と診断されたからといって、必ず働けなくなるわけではありません。
症状の程度や仕事の内容、職場環境などによって異なります。
一方で、記憶の空白や強い不安などによって、仕事に支障が出る場合もあります。
例えば、仕事の指示を覚えていなかったり、強いストレスによって症状が悪化したりする可能性があります。
そのため、必要に応じて仕事量の調整や休憩、業務内容の確認方法などを相談することも大切です。
働くことだけを優先せず、治療や生活の安定とのバランスを考える必要があります。
解離性同一性障害は精神障害者保健福祉手帳の対象になる?
解離性同一性障害でも、精神障害者保健福祉手帳の対象となる可能性があります。
精神障害者保健福祉手帳は、精神疾患によって長期にわたり日常生活や社会生活に制限がある人を対象とする制度です。
ただし、病名だけで交付が決まるわけではありません。
症状の程度や生活上の困難、診断書の内容などをもとに審査されます。
精神障害者保健福祉手帳の等級
| 等級 | 障害の程度の目安 |
|---|---|
| 1級 | 日常生活を送ることが非常に困難な状態 |
| 2級 | 日常生活に著しい制限がある状態 |
| 3級 | 日常生活または社会生活に制限がある状態 |
※表は分かりやすくした目安であり、実際の判定は法令上の基準に基づいて行われます。
解離性同一性障害だから必ず何級になる、という決まりはありません。
申請を考えている場合は、主治医や自治体の障害福祉窓口に相談しましょう。
解離性同一性障害で障害年金は受給できる?
解離性同一性障害による障害年金の受給は、原則として難しい場合があります。
ここは精神障害者保健福祉手帳とは異なるため、特に注意が必要です。
障害年金は、病気やケガによって日常生活や仕事に大きな制限がある場合に、一定の条件を満たすことで受給できる制度です。
しかし、すべての精神疾患が同じように認定されるわけではありません。
障害年金では神経症に関する認定基準がある
解離性同一性障害は、ICD-10では解離性(転換性)障害に分類され、神経症性障害・ストレス関連障害などと同じ大きな分類に含まれています。
日本年金機構の障害認定基準では、神経症に分類される疾患は、症状が長期間続いていても原則として認定対象にならないとされています。
ただし、臨床症状から判断して精神病の病態を示している場合には、例外的に認定対象となることがあります。
そのため、解離性同一性障害という診断名だけで障害年金を受給することは、原則として難しいと考えられます。
一方で、ほかの精神疾患を併発している場合などは、診断内容や障害の状態によって判断が異なります。
障害年金の主な種類
障害年金には、主に障害基礎年金と障害厚生年金があります。
障害基礎年金
主に国民年金に関係する制度で、障害等級1級・2級が対象です。
障害厚生年金
原則として、初診日に厚生年金の被保険者だった場合などに関係する制度で、障害等級1級・2級・3級があります。
ただし、どちらも初診日や保険料納付状況などの条件を満たす必要があります。
精神障害者手帳と障害年金は別制度
精神障害者保健福祉手帳と障害年金は別の制度です。
例えば、精神障害者保健福祉手帳2級だからといって、自動的に障害年金2級になるわけではありません。
反対に、精神障害者保健福祉手帳を持っていなくても、障害年金の申請ができる場合があります。
特に解離性同一性障害では、障害年金の認定基準上の取り扱いに注意が必要です。
申請を考えている場合は、主治医や年金事務所、障害年金に詳しい社会保険労務士などに相談することをおすすめします。
解離性同一性障害の人への接し方
家族や周囲の人は、本人の症状を頭ごなしに否定しないことが大切です。
また、人格状態の変化を面白がったり、無理に別の人格状態を出そうとしたりすることは避けましょう。
本人が安心できる環境を整え、困っていることを落ち着いて聞くことが重要です。
記憶が抜け落ちる症状がある場合には、本人の希望を確認しながら、予定や必要な情報を記録する方法が役立つこともあります。
ただし、周囲の人だけで治療しようとする必要はありません。
必要に応じて専門家の支援につなげることが大切です。
解離性同一性障害かもしれないと思ったら?
自分の記憶が頻繁に抜け落ちたり、自分の行動を覚えていなかったりする場合は、精神科などの医療機関に相談することをおすすめします。
ただし、こうした症状には、ほかの精神疾患や身体的な病気、薬の影響などが関係している可能性もあります。
インターネットの情報だけで自己診断せず、医師による適切な評価を受けることが大切です。
また、強い自傷衝動がある場合や、安全を確保できない状態では、早急に医療機関や緊急の相談先に助けを求めてください。
まとめ|解離性同一性障害は理解と適切な治療が大切
今回は、解離性同一性障害について紹介しました。
解離性同一性障害は、以前「多重人格障害」と呼ばれていた精神疾患です。
複数の人格状態が現れるだけでなく、記憶の空白や、自分自身であるという感覚の変化などが生じることがあります。
また、症状の程度によっては、仕事や日常生活に大きな影響が出る場合もあります。
しかし、適切な治療や周囲の支援によって、症状による苦痛を軽減し、生活を安定させることが期待できます。
精神障害者保健福祉手帳については、生活への影響などによって対象となる可能性があります。
一方、障害年金については、神経症に関する認定基準があるため、原則として認定が難しい場合があります。
精神障害者保健福祉手帳と障害年金は別の制度であり、それぞれ認定基準が異なることを理解しておくことが大切です。
解離性同一性障害に限らず、精神疾患について誤解や偏見を持たず、一人ひとりの困りごとに目を向けることが重要だと思います。
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※この記事は一般的な医療・福祉制度の情報を紹介するものであり、診断や個別の受給可否を判断するものではありません。


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